a
what a wonderful world

5th album
"what a wonderful world"
on sale now

01 shake my head / 02 bouquet / 03 downtown / 04 lockdown blues / 05 pop star / 06 nice diary / 07 havana / 08 coppelia / 09 in my heart / 10 runaway train / 11 beautiful girl / 12 dancer in the dark

MCRC-0009 / 3,000 yen (including tax) / 全国CDショップ、ライブ会場で販売中

日本にカリブの風が吹く!ゲストミュージシャンに初めてホーンセクションや鍵盤奏者を迎えて、デビュー25周年を鮮やかに彩るwilberryの金字塔。ロックンロールのその先に向かって吠えるキラーヴォイス、ジョウミチヲの魂が転がる12曲!

前作”KEEP YOUR DREAMS”から6年。コロナ禍にレコーディングを開始、1年を費やして完成させた今作は前作以上にサイケデリック、ポップでキャッチーな仕上がりとなった。
90年代以降の洋楽に影響を受けた楽曲の連続だが、ヴォーカルのジョウが中米キューバを訪れ現地音楽に影響を受けて制作された”havana”や”coppelia”はバンドにとっては明らかな新機軸となっている。
さらにマンチェスターグルーヴ全開の”shake my head”、日本のコロナ政策を皮肉りながらのラヴソング”lockdown blues”、ソウルバラッド”in my heart”など、聴く者を虜にし、wilberry史上最もヴァラエティに富んだ12曲が詰まっている。

Guest Musicians' Comments

直井茂雄(スキップカウズ)

直井茂雄(スキップカウズ)

下北沢で対バンした打ち上げでブリちゃんから突然言われた「ドラムセット貸してくれない?」からのスタートでした。今まで自分のレコーディングしか経験ないので、ドラムテックと言われる人の仕事内容がいまいち掴めてない状態でスタジオへ。チューニングやシンバルセレクトなど、どこまで首を突っ込んでいいのかもわからずに手探りだったので、エンジニアさんやメンバーにちょっとご迷惑おかけしてしまったかも(笑)。

でも流石の百戦錬磨の猛者達、次々OKテイクを重ねて行きます。持って行ったスネアやシンバルのカラーを把握したブリちゃんのセレクトもバッチリ!機械的なシーケンストラックに生身の音が重なって独特のグルーヴが生まれる瞬間を、真横で体験させてもらいました。 最終的にちょっとした音録りにも参加させてもらえて、すごく楽しく、勉強になる二日間でした。

次回までにはドラムテックとしての経験を積んでおくので(笑)、またよろしくお願いします!

近藤智洋(my funny hitchhiker)

近藤智洋(my funny hitchhiker)

大好きなウィルベリーのニューアルバムに、なんとゲストで参加!それもピアノで!?

去年の3月、下北沢ラプソディーで大森洋平くんとジョウくんと弾き語りやった時にジョウくんから「新しいアルバムで1曲ピアノ弾いてください~」と言われた時は「いやいや、冗談でしょう~~」とやんわりお断りしたのに、3ヶ月後には、「LOCKDOWN BLUES」の音源とコードと歌詞が送られてきました。。。

オレよりうまい人はたくさんいるのに、よりによってオレに頼むなんて、なんと物好きなウィルベリー。。。
ライヴでもおなじみのゴキゲンなこの曲、最初は仮で入ってた打ち込みのピアノを越えることができなくて、ちょい泣き入りましたが、やっぱり、オレにはオレのピアノしか弾けないしなあと、近藤節全開でいったら、あら不思議、自分でも最高〜!と思えるテイクが録れました!うふふ~
ということで、毎回最高を更新するwilberryのニューアルバム「what a wonderful world」、遂にリリース!

SHAKE MY HEADで始まった夜は、DANCER IN THE DARKまでたどり着くための12の物語。その一つの物語に参加することができて、一つの色を加えることができた幸せ、ジョウくん、そしてwilberryに感謝の気持ちでいっぱいです。

7/21(金)@下北沢251のLOOP LINE PASSENGER、wilberry、my funny hitchhikerの3マンでは、なんとwilberryに参加して「LOCKDOWN BLUES」を弾かせてもらうよ~!めっちゃ楽しみ!

NOB FROM CURIO

NOB FROM CURIO

こんにちは‼️
NOB FROM CURIOです。^ ^
wilberry のNEW ALBUM  皆さまもうお聴きになりましたかぁ⁉️めっちゃくちゃカッコイイっすネ〜👌✨‼️
なんと今回は僕もレコーディングに参加させて頂いてますよ(o^^o)
saxophone on “havana” & “lockdown blues” by NOB (CURIO)
クレジットを観て気付いた方がいたか?いないかはさておき❓
2曲SAXを吹かせてもらいましたよ−。ブリさん東京からレコーディング機材持って来てくれて小松市で録音致ししましたよ。イヤ〜。ホント楽しい時間でございました。
ありがとうございました。
出来上がった曲を聴いてもうなんかすっごいカラフルでポップなサウンドに仕上がっていて。 MVも素敵すぎだし。これは沢山の方々にぜひ聴いて欲しいと思ってます。ツアーも楽しみですね♪ ライブもめちゃくちゃ盛り上がるんだろうなぁ~
ええなぁ^ ^

chankeng

chankeng

wilberryの世界にどっぷりとつかれる素敵なアルバム。一緒に旅をさせてもらったような感じになりました。
3曲ほどトランペットを吹かせていただきました。wilberryの新しくはじまった旅に少し参加させてもらえて光栄です!
リリースおめでとうございます!!

HOSSY(gimcracks)

HOSSY(gimcracks)

今回、大好きなwilberryの最新アルバム”what a wonderful world”のレコーディングに、トランペットのchankengとともに参加させていただきました(どちらかというと自分はおまけ参加)。

リーダーのジョウミチヲが、「メンバーが鳴らす音は常に最高」と言っていることからもわかるように、とにかくこのバンドはメンバー同士の音への信頼が厚い。
その証拠に、バンド隊のレコーディングは毎回ほぼワン・テイクという、脅威の早さであっという間に終わってしまうというから恐ろしい。
ここまで安心して任せられる関係性って素晴らしいな、としみじみ感じた。

LIVEでもお馴染みのナンバーを多数収録したこのアルバムは、録音の早さとは反比例して音の密度が濃く、曲によって様々な表情を見せてくれる懐の深い作品に仕上がっている。

ぜひみなさんのお気に入りの一枚になったらうれしいです。

ジョウミチヲの妄想インタヴュー

前作”KEEP YOUR DREAMS”のリリースから約6年、待望のニューアルバム”what a wonderful world”をリリースしたwilberry。今回収録の12曲の解説を中心に、アルバムレコーディングの裏側やコロナ禍での活動について、バンド唯一のオリジナルメンバー・ジョウミチヲに大いに語ってもらった。(聞き手:渋崎陽一郎/構成・キャプション:星野源五郎丸)

コロナがあってもずっと休まずに動いてた

どうも、ジョウくん、久しぶりだねぇ。なにしてたの?

ジョウミチヲ(以下ジョウ):おい!なにしてたはないだろうよ!初っ端から随分と失礼なこと言うのな!こっちはずっと活動してんだよ!コロナがあってもず〜っと休まずに動いてたのっ!だいたい知ってて来たんだろ?今回こうやってアルバムが出るから、取材するんじゃないのかよ。

おお、キレてる、キレてるぅ、るるるるるぅ~。いやぁ、失敬、失敬。それにしても久しぶりじゃん、何年ぶり?

ジョウ:前作の”KEEP YOUR DREAMS”のリリースの時からだから6年近く経っちゃったな。

そうか、もうそんなに経ったんだね。その間はさっき言ったみたいにずっとライヴやってたの?

ジョウ:そうだね。コロナが広がっちゃった時にライヴハウスとかスタジオが閉まっちゃった時期が少しだけあったから、その時はさすがに動けなかったけど、それ以外は、まあ、そんな感じかな。

メンバーのみんなは感染したりはしなかったの?

ジョウ:安高とロイヤルがね。安高は流行の初期の頃で、たまたまライヴのない時期だったから特に公けにもしなかった。症状もそれほど酷いものじゃなかったしね。ロイヤルの時は、症状が酷かったかし、人前に出られない期間も長かったから、まあ、大変だったよ。

と言うと?

ジョウ:ライヴが2本決まってたからね。1本目はたまたまその直前に録ったライヴ音源があったから、そこからベース音だけ抜き出して、それをブリテンのPCを通じてベースアンプから出して、ステージは3人でやったよ。

なんと!?よくそんなこと出来んねぇ。

ジョウ:うちらは、元々PCから同期を流してる曲が多いから、プレイ自体はそんなに難しいもんじゃなかった。でも、なんか変な感じだったな。ロイヤルはその場にいないのに、ちゃんとロイヤルの音がベースアンプから出てて。ステージ上は1人少なくて寂しいのに、音はいつも通りってね。なんか気持ち悪かったね。

でも、うまくいったわけでしょう?

ジョウ:まぁね。お客さんも、それなりに喜んでくれてたとは思う。でも、楽屋に戻ってすぐに3人で「うまくはいったけどこのやり方は今回で最後だね」って話したよ。

なるほどね。じゃあ、もう1本はどうしたの?

ジョウ:うん、その「今回で最後」って話てたのは、2本目の頃にはロイヤルも復帰するだろうって見込んでたからなわけで。。。

そうか、じゃあ、復帰できなかったわけか。

ジョウ:そうなんだよ。さすがに困ったわけだよ。急にサポートベースマンを探すにも時間もなかったし。ましてやコロナ禍だから動きたくないバンドマンもいるしね。

じゃあ、どうしたの?

ジョウ:前任のベーシストのホッシー(hoshino ubk)に頼んだよ、本当に他にいなかったからね。

あ、知ってる、その人。っていうか、元のメンバーとまだ繋がりあんだ?

ジョウ:ああ、あるよ。”KEEP YOUR DREAMS”のジャケットとかフライヤー、ポスターとか全部デザインを頼んでるしね。今回も同じ。全部やってもらってる。

なるほど、そっち方面でね。でもベースをもう1回弾いてもらうなんて、さすがに頼みづらかったんじゃないの?

ジョウ:頼みづらいってことはないけどね。ただ、OKしてくれるかどうかがわからなかった。本当に本番の4〜5日前に頼んだからスケジュール的なところも含めて。

でもOKが出たわけだよね?

ジョウ:うん、「それ、めっちゃ面白そうや~~ん」ってね。

あら、意外にも!

ジョウ:脱退以降も関係が続いてて良かったよ。俺の人生で過去のバンドメンバーと今も連絡取り合うのはアイツくらいだからなぁ。

それでなんとか乗り切れたわけだね。

ジョウ:うん、そういうこと。

それにしても、6年っていうのはちょっと時間が空き過ぎなんじゃない?

ジョウ:そうだね。曲数は順調に揃ってたし、予算も問題なかったんだけど、やっぱりコロナがあったからスタジオを事前に予約するのに躊躇ったりはしたかな。メンバーやエンジニア、周りの人が感染したら全部予定がパーになっちゃうからね。

なるほど。で、これだけ時間がかかっちゃったわけだね。

ジョウ:おおよ。

アルバム全体に通じているメッセージ “what a wonderful world”

じゃあ、早速、今回のアルバムについて聞いていこうかな。曲順通りいこうか。まず、1曲目の”shake my head”。これは随分とマッドチェスターな曲調だけど、こういう曲って、どういう手順で作っていくの?そんなに歌ありきって感じじゃない印象だけど。

ジョウ:いやいや、歌から作ったんだよ。ただし、他の曲とは違ってメロディだけ俺がスタジオに持っていって、まさに手ぶらで歌だけをみんなに聞かせるところから始まった。コードはその時にメンバーがつける。コードを付けるのは安高が得意だから、確かアイツが中心になって付けたんじゃなかったかな。ほとんどワンコードみたいな曲だけどね。

へぇ。そんな作り方もするんだ?

ジョウ:普通はコードも俺が付けてみんなに持ってってギターを弾きながら聞かせるんだけどね。こういう作り方をしたのは前々作に入ってる”K.D.L.”以来2回目じゃないかな。

印象的なフレーズのシタールは誰が弾いてんの?

ジョウ:いや、あれは打ち込み。

ええ??マジで?あんな本物っぽい音が作れるんだ?

ジョウ:作れる作れる。シタールだけでもいくつか音色の種類があったんじゃないかな。フレーズもいくつか試してあれになったんだ。

そういう作業もいつもスタジオでやってんの?

ジョウ:そうだね、普段のリハーサルスタジオでね。だいたいうちらはスタジオは3時間入るんだけど、そういう作業だけで終わっちゃう時もあるんだよ。

そっか。じゃあ、オルガンとかピアノのレコーディングも打ち込みなわけだね?

ジョウ:いやいや、鍵盤はホッシーに頼んだんだ。

え?ホッシーって鍵盤もできんの?

ジョウ:いや、さっき話したホッシーじゃなくってもう1人仲の良いホッシーってのがいて彼に頼んだんだよ。

紛らわしいな。

ジョウ:しょうがねぇだろ、2人とも星野っつうんだから。星野のニックネームはホッシーに決まってんだから。

決まってはいないだろ!

ジョウ:とにかく、彼に「マンチェっぽいの頼む」っつって頼んだんだよ。

一緒にスタジオには入ってないの?

ジョウ:入ってない。よくライヴは観にきてたから曲は知ってるしね。データのやり取り2~3回で大丈夫だったよ。オルガンとピアノ、両方ともね。ピアノはちょっとこういう感じっていうのはリクエストした。プライマルとかシャーラタンズみたいな跳ねた感じのね。オルガンは殆ど何も言わなかったんじゃなかったかな。すぐにあの最高なのが送られてきたよ。

なるほど。次の”bouquet”は今までにない、随分とストレートな8ビートな曲だね。しかも結構テンポも速いよね。いつ頃作った曲?

ジョウ:これは全12曲の中で3番目くらい古い曲だね。5年前くらいかな。作った時からのお気に入りで1度自分達でもレコーディングしてシングルとしてライヴ会場限定でリリースした曲だよ。

じゃあ、そのままそれをアルバムに入れたわけだね?

ジョウ:いや、今回再レコーディングしたよ。他にも何曲かシングルで出した曲があるけど、全て録り直した。シングルはたいがいは作ってすぐに勢いで録ってリリースすることにしてるから、アルバム出す頃にはいろいろと変わってるからね。

例えば?

ジョウ:”bouquet”については歌詞が一部変わってるね。「狙うは大都会のガヴァメンツ(政府)」って歌ってるところは、シングルだと「狙うは大都会のメガバンク」になってた。ず~っとそうやって歌ってきたんだけど、ある日から政府の方がよりテロっぽくって良いなって思ったんだよ。メガバンクだとミッシェルガンエレファントに似たような表現の曲があるのに気づいたっていうのもあるけどね。

あ、「銀行を襲うのさ」って歌う曲あったよね。

ジョウ:そうそう。書いてすぐに「あ、ちょっと似てるっちゃあ似てっるな」って思ったんだけど、気にするほどでもないかって放っておいた。だけど「ガヴァメンツ」を思い立った時は「お、こっちの方がしっくりくるな」って思ったよ。

そういえば、アルバムのタイトル”what a wonderful world”はこの曲の一節から取ったの?

ジョウ:そうだね。誰でも知ってるサッチモの曲だよ。もちろん皮肉だけどね。俺の好きな映画で「グッドモーニング・ベトナム」っていう映画があるんだけど、あの映画の中でも皮肉っぽい映像の中で使われてる。あれと同じ意味だね。アルバム全体に通じているメッセージとも合ってるして。というか、俺は歌詞からアルバムタイトルを付けるのが一番格好良いって思ってんだよね。

bouquet
"bouquet" MVで何かにびっくりしたジョウ
コロナ禍について歌わずに、メソメソくっだらないラヴソングしか作らない意味がわからない

ふ~ん。3曲目の”downtown”はどうやってできたの?

ジョウ:これを作る頃には、もうアルバムに入れる曲は8~9割決まっていたから、ちょっと他にはないタイプの曲で、できれば今までにないような曲を作りたいなって思ったんだよね。

これ、果たして他にないタイプかねぇ~。

ジョウ:お前、本当に失礼な!な!

そうかなぁ~。じゃあ、どういう曲にしようとしたわけ?

ジョウ:軽快でお洒落な感じかな。

抽象的だな。バカっぽいぞ。

ジョウ:だって、そうなんですから。

じゃあ、それをメンバーに言ったのかよ?「よぉ、お前らぁ、この曲をさぁ、今までにないシャレオツなシティポップみたいな曲に仕上げちゃおうぜ!」みたいな。

ジョウ:まず俺はメンバーを「お前ら」とは言わないし、昭和の業界崩れ野郎みたいにお洒落を「シャレオツ」とは言わない。。。そしてシティポップってなぁにぃ?

まぁ、確かにオルガンとかパーカッションの感じはお洒落に聞こえなくはないね。

ジョウ:だろ?軽快さ、軽さっていうのは一番意識したかな。俺たち、もうベテランミュージシャンだからね。放っておいたら、いくらでもサウンドが重くなるからね。軽くするのは結構大変なんだよ。

なるほどね~。じゃあ、次は前半のクライマックスと言ってもいい”lockdown blues”。これはまさにコロナ禍の歌だね?

ジョウ:そうだね。まさに世界中がコロナで沈みはじめた時に早々と作った。もうこれは「作らなきゃいかん」という使命感みたいなものもあったよね。

wilberryの周りにも、そういうテーマの曲を作ってる連中はいた?

ジョウ:う~ん、どうだろう。声高に歌ってる奴はそんなにいなかったんじゃないかな?わからないな。歌詞を読んだわけでもないしね。

そういう状況ってどう思う?

ジョウ:ん?

つまり、あんまり周りは歌ってないんでしょう?

ジョウ:多分ね。いや、わかんないよ。歌ってるのかもしれない。でも、あんまり耳には入ってこなかったかな。どうしてかね。まあ、それぞれ表現方法もあるから、俺がわからないだけかもしれない。ただ、もしも全然歌ってないんだったら、ちょっとそれはよくわかんないな。

わかんないって?

ジョウ:わかんないよ。だって、世界中、コロナコロナコロナコロナって朝から晩まで言ってんのに、それについて歌わずに、メソメソくっだらないラヴソングしか作らない意味がわからない。

じゃあ、その頃はラヴソングは一切書かなかったの?

ジョウ:そういう極論を言うなよ。でもさ、生活がコロナに支配されてるんだから、それに対しての何らかの意志表明として、歌いたくなるのが表現者の性ってもんなんだけどねぇ~。社会的、政治的な歌詞についても同じことが言えると思うけどね。

まあ、そうでしょうね。でもこの曲はラヴソングでもあるよね?

ジョウ:そうだね。コロナの行動制限の中でもお前に会いたいぜ、みたいなね。でも、我ながら全体的に良い歌詞だと思うよ。

どの部分がお気に入り?

ジョウ:「虹は真っ赤に染まっちゃって」のとこかな。

この虹っていうのはレインボーブリッジのことだよね?

ジョウ:ご名答!ガッハッハ。いいだろ。ここ。

まぁまぁだね。

ジョウ:ほんっとに感じ悪いよな。。。

サウンド的にもこの曲はビッグだね。

ジョウ:おおよ!サックス、トランペット、ピアノが生で入ってるからね。

ホーン隊が入るのはwilberry史上で初めてなんじゃない?

ジョウ:そうなんだよ。どうしても生で入れたかったんだ。サックスとトランペット両方ね。サックスはすぐに候補が決まった。CURIOのNOBくん。付き合いも長いし、プレイももちろん何にも問題ない。唯一問題は北陸在住ってとこ。でも、これもブリテンが機材持って行ってくれて解決した。小さいライヴハウスで1日で2曲録ったんだよ。この曲と”havana”さ。最高だね。この2曲はライヴでも何回もやってて、その音源は打ち込みだったんだけど、正直、生音は全然違う。グルーヴも音色の艶もね。トランペットは全く仲間に吹ける奴がいなかったから、ホッシーに紹介してもらったチャンケンくんにお願いした。彼には”havana”と”coppelia”を加えた3曲を頼んだんだ。

絶対に近藤智洋、この人しか有り得ない

そして、この曲には近藤さんが参加してますでございますね?

ジョウ:どうした?なんか、日本語がヘンだぞ、大丈夫か?

いや、イントロからピールアウトみたいだよね、これ。

ジョウ:だろ!いいだろ。この曲も絶対にピアノは生が良かったんだけど、しかも絶対に近藤智洋、この人しか有り得ないって思ってお願いしたんだよ。

へぇ~!近藤さんとは付き合いは長いの?

ジョウ:うん、もう20年くらいかな。

対バンも今までしてきた?

ジョウ:そうだね、あと一緒に北海道の旭山動物園に行ったな。オランウータンとかペンギンとか一緒に見たな。あそこってさぁ、モグモグタイムっていうのがあって、飼育員が決まった時間に登場してエサをだな、、、

おい!そんな話聞いてないんだよ。2人の音楽的なつながりは、

ジョウ:あと、ユニヴァーサルスタジオジャパンも行ったぞ。あんときはブロンディの篠原とあゆこちゃんもいて、スパイダーマンに、、、

おいおいおいお~~~~~い、帰ってこいよ、こっちに!

ジョウ:とにかく地方のライヴに何回か行って、帰りにそういうところに一緒に寄って遊んじゃうくらい深いつながりなんだよ。

なるほど、わかりましたよ。これは?一緒にスタジオ入ったの?

ジョウ:いいや。さっき言ったように、既にライヴでやってて打ち込みのピアノが入ってたんで、それも参考に、でも自由にやって欲しいってお願いしたんだよ。データでのやり取りさ。

じゃあ、あっという間?

ジョウ:参加をお願いした時には「最近はあんまりピアノは弾いてないから」って断られそうになったんだけど、何を言われようとこっちは引く気はさらさらないわけよ。で、多分近藤さんも「うわぁ、こいつ絶対に引かないわぁ。。。」って気づいたっぽくて、やっと引き受けてくれたよ。でもいざレコーディングになったら早かったよ。2回データのやり取りしたくらいかな。すごいよね、わっはっは。

この曲はいいと思うよ。なんかストーンズみたいだしね。いい出来なんじゃないかな。

ジョウ:なんとなく上から目線でイラっとするよな。。

そして”pop star”。これはまたキャッチーな曲だね。歌はちょっとグラムっぽい。

ジョウ:そうだね、ちょっとそういう歌い方をしているかな。

ミュージックヴィデオについても聞こうか。

ジョウ:ああ、女装のね。別に女装が趣味ってわけじゃないぞ。

でも前回も”noisy days”でやってたよね?

ジョウ:うん、監督はいつもやってくれていて、今井さんっていうんだけど、彼のアイディアだよ。最高さ。

ああゆうのってイヤじゃないの?

ジョウ:全然イヤじゃないね。前回よりもさらに本気でできたしね。ただし、メイクしたら思った以上にローリーっぽかったなぁ。

あっはっは、確かにね!撮影は大変だった?

ジョウ:ああ。アー写も同時に撮ったりして、時間がタイトだったからね。アー写はメイクなしだから前半に撮って、着替えてメイクなしのヴィデオを撮影。で、メイク。メイクあり撮影。最後にメイク落とすシーンの撮影。この最後の泣きながらメイク落とすシーンの撮影する時には既に、撤収時間が近くて、絶対にNGを出せない状況で、結構緊張感があったよ。

そりゃそうだね。なんか気をつけたことは?

ジョウ:その最後の涙を流すシーンが、あんまり大袈裟にならないようにしたくらいかな。トゥーマッチになるとサブくなって全部台無しになっちゃうからね。

pop star
絶対にNGを出せないジョウ
俺以外の3人が面白がっちゃってどんどんカリブっぽくなっていったね

さて、前半の最後は”nice diary”。

ジョウ:これは安高がコロナに感染した時に作ったんだ。だから作り初めの時はあいつはスタジオにいなかったんだよ。あとこの曲はホンットにあっという間にできた。うちらは俺が曲を持っていって、ライヴで披露するまでいくら早くても2ヶ月くらいはかかるんだけど、これは1ヶ月かからなかったんじゃないかな。安高なしで大枠作って、安高が合流してスタジオ2回くらいで完成した。珍しく歌詞もすぐにアイディアが浮かんだしね。ギターソロも安高に基本的に歌メロに添って同じにしてくれって言って、ソロ後半のギターとベースのユニゾンも俺の中ですぐに浮かんで、本当にあっという間。

これは歌はダブルでレコーディングしたの?

ジョウ:うん。全然そのつもりじゃなかったんだけど、1本だと物足りなくて違うかなってね。1本でレコーディングしたものを家で聴いて「あ、ダブルがいいかも」って。後日ブリちゃんにそれを伝えたら「僕もそう思った」ってね。で、もう1本録ったんだ。

歌詞も軽くて、いい意味で日本っぽい曲かなって思ったよ。では”havana”だけど、これはキューバに行って向こうで作ったんだって?

ジョウ:いやいや、厳密にいうとそうじゃないんだ。”KEEP YOUR DREAMS”をリリースして、すぐの頃に確かに休暇でキューバに遊びに行って、それでこの曲ができたのは本当だけどね。帰国してから作ったんだよ。首都ハヴァナにいる時点でアイディアは浮かんだけどね。ただ、漠然としたものだったし、ちゃんと仕上がるところまでは想像してなかったね。

どうやって仕上げたの?

ジョウ:他の曲と同じさ。みんなの前でギター1本で歌って「さぁアレンジだ」ってね。最初は俺は英国バンドのコーラルみたいな感じにしたかったんだけど、キューバから帰国直後だったから俺以外の3人が面白がっちゃってどんどんカリブっぽくなっていったね。だから、むしろ俺以外の3人のおかげでああいう感じに仕上がったとも言えるんだよ。

ホーンを入れたのも”lockdown blues”よりもこれの方が先?

ジョウ:そうだね。これもブリテンのアイディアだよ。俺はホーンを入れるのには若干の抵抗があったんだけど、フレーズもブリテンが同期で作って持ってきたから、そこまでされたらそんな簡単に却下はできないじゃん?いざ、聞いてみたらすごく良くてね。同期でも全く安っぽい音ではなかったからね。で、今回は”locckdown blues”同様にNOBくんとチャンケンくんに吹いてもらった。

チャンケンくんっていうのは?以前からの友人?

ジョウ:いや、今回レコーディングにあたって初めて鍵盤のホッシーに紹介してもらったんだよ。さっき言ったようにトランペッターは全く友人にいなかったからね。1回ライヴを観に来てもらって、音源も聴いてもらって頼んだんだよ。ホッシーのお墨付きプレーヤーだったから何も心配はなかったよ。実際にすごく上手くいった。レコーディングの時はホッシーも顔を出してくれて、スムーズに進んだよ。

録ったのはブリテンさん?

ジョウ:そうだよ。今回はリズムとアコースティックギターは4作続けてやってもらってる佐藤雅彦さん。ギターとヴォーカルは全曲ブリテンだよ。

ホーンのレコーディングは難しいんじゃないの?

ジョウ:佐藤さんにマイクの位置なんかを予め教わって挑んだよ。機材も借りれたしね。

そして続けて”coppelia”。これは”havana”と繋がって聞こえるね?なんか街中か何かのSEで繋げてるんだよね?

ジョウ:そう。そのハヴァナに行った時に、すごく歴史のあるモヒートを飲ませるお店があってね。そこに昼間に飲みにいったんだよ。昼間だってのに、すごい混んでてお客全員が立ち飲みでモヒートを飲んでた。店のおじさんもカウンターにモヒートのグラスを横一列に並べて、一気にまとめて作るんだよ。その手捌きが見事でね。それでそれを動画に撮っておいて、音源だけ今回のSEに使ったんだ。

あ、じゃあ、街中の音ではなくて店内の音なんだね。”coppelia”っていうのは何語?英語じゃないみたいだけど。

ジョウ:知らない。スペイン語かな?

なんで知らねんだよ!お前がタイトル付けたんじゃないのかよ!

ジョウ:なんだよ、急にキレるなよ、怖いなぁ。知らないんだよ。coppeliaっていうのはハヴァナにある有名なアイスクリーム屋の名前なんだよ。

これってアイスクリームの歌でしたっけ?

ジョウ:いいや、別に。いいじゃないか、タイトルなんてなんでも。そこのアイスクリーム美味しかったしな。

タイトルなんでもいいってことはないと思うけどな。ま、それはともかく、これはロックバンドとは思えないサウンドだね。ちょっとボサノヴァっぽいし。最初っからこういう狙いだった?

ジョウ:全然。普通の8ビートの曲で持っていったんだけど、これは”havana”の次に作った曲で、メンバー全員が、もう1曲くらいキューバからの影響下にある曲を作りたかったんだろうね。本当に自然にこのアレンジの方に向かっていってしまったよ。安高が指で弾くのもすごく珍しい。急にあのイントロのフレーズ弾き始めて即採用になったよ。

シェイカーを振ってるのはスキップカウズのシゲさんらしいね。

ジョウ:そう。彼は今回のレコーディングでドラムセットを提供してくれて、しかもレコーディング中もずっと一緒にスタジオに入ってくれて、ドラムテック役も担ってくれたんだよ。で、本来だったらそれだけだったんだけど、この曲のシェイカー、俺が振ってみたんだけど全然上手くいかなくてね。困ってたら「俺やってみよっか」みたいな感じでシゲさんが振ってくれたんだ。いや、本当にいてくれて助かったよ。ほぼ一発OKだったんじゃないかな。

なるほど、なかなか奇跡的だったんだね。

ジョウ:そうだよ。いなかったら打ち込みになってたんじゃないかな。

coppelia
"coppelia" MVでドヤ顔が決まるジョウ
聴いてる人が楽しめなきゃ歌ってる意味なんてないんだから

そして次は”in my heart”。これもちょっと今までにないタイプの曲、ソウルバラッドって言ってもいいのかな。

ジョウ:うん。もうちょっとクールな仕上がりを予定してバンドに持ち込んだんだけど、そうは上手くいかなかったね(笑)。

というと?

ジョウ:いや、8分の6拍子だけど、もうちょっとスーッと耳馴染みが良い感触の曲になる予定だったんだよ。でも1~2時間4人で音を出したら、ソウルミュージックに変わっていったよね。

この曲はやっぱり歌詞について聞きたいんだけど。これは実体験を歌ってるの?

ジョウ:そんなことを答える気はさらさらないけど、良く書けてるとは思う。このアルバムの中では特にかなり気に入ってるよ。

で、実体験なんっすよね?

ジョウ:それは答えないけど、よく出来てるよね。いい歌詞だよ。

実っ体、、

ジョウ:しつこいな!おい。おい。しつこいんですけどーーー、おい!俺は実体験の歌詞も確かに書くけど、実体験しか書けないわけじゃないんだよ。なぜなら。エイターテイナーだから。ノンフィクション作家やってんじゃないんだ。作り話を作るのも大好きだし。聴き手が喜びそうな歌詞を考えて書くこともあるんだよ。聴いてる人が楽しめなきゃ歌ってる意味なんてないんだから。なんか前回もこんな話をした気がするんだけど忘れたんでしょうかー?で、この曲の歌詞については、男版ジャニス・ジョップリンみたいな歌詞を書きたかったんだよ。女々しくネチネチした感じのね。最高の出来だよ。

なるほどね。安高さんのギターもかなりクレイジーでいいね。ソウルミュージックなのにギターだけオルタナ感があって格好いいよ。

ジョウ:多分本人も気に入ってるよ。今回はTHE ODGE(Response)のホームスタジオに出向いてギターは全曲そこで録ったんだよ。アンプもギターも色々試させてもらったし、THE ODGEがアイディアもくれたしね。ご満悦な1日だったんじゃないかな(笑)。

次の”runaway train”。これはいかにもwilberryな王道な曲だね。

ジョウ:その通り。この手の曲は正直いくらでも作れる。アレンジが単調にならないようにしなきゃいけないし、それはそれで大変な作業だからたくさんは作らないけどね。

前作の”noisy days”と比べてもいい曲だね。

ジョウ:おんなじだって言いたいのか?

そ、そんなこと言ってないっす。

ジョウ:テンポもリズムも似てるから言われてもしょうがないかな。でもメロディが全く違うんだからいいでしょ。当然歌ってることも違うし。

サビのコーラスも効いてるね。

ジョウ:ああ、あれはロイヤルの仕事だね。

コーラスはどの曲もジョウが「こう歌って」って指定するの?

ジョウ:う~ん、そのパターンは多いけど、ロイヤルが勝手に歌い始めて採用になる場合もある。この曲は俺が指定したはずだけど。

勝手に歌い始めることもあるんだ?

ジョウ:そうだね。基本的にあいつは歌いたがりだよ。というかハモりたがり?

それはなんか問題?

ジョウ:いや、助かってるよ。ライヴではコーラスは相当大きく出してるしね。というか、他の3人、みんな歌いたがりかもな。今度聞いてみよう(笑)。

俺の歌が消えてからがメインと言ってもいい

さて、11曲目は”beautiful girl”。終盤に随分とキャッチーな曲が来ましたね。

ジョウ:これは”bouquet”の次くらいに作った曲。プリンスの”cinamon girl”っていう曲があるんだけど、あれみたいにサビで”なんとかガール♪”って連呼する曲を作りたくって作った曲。アレンジはちょっとリック・オケイセックの曲みたいなアレンジを目指した。だからウィーザーとかザ・カーズとかもちょっと意識して作ったよ。wilberryには珍しい、全く跳ねない8ビート曲。

ウィーザーとwilberryはちょっと結びつかないね。意外だわ。

ジョウ:ウィーザーは結構好きだったよ。4、5回ライヴも観に行った。今はあんまり聞かないけどね。この曲はライヴでやり始めた時に随分と評判が良かった。俺個人としては若干キーが低めの設定だから、いまいちテンションが上がらなくてちょっと困ってたんだよね。でも、お客さんやバンドの仲間なんかが「ビューティフルガールよかった!」ってよく言ってくれて、最初はちょっと戸惑ったね。

beautiful girl
"beautiful girl" MVで歩く姿勢の美しさを追求するジョウ

まあ、そういうことは往々にしてあるよね。さてさて、最後12曲目は”dancer in the dark”。

ジョウ:うん。これは大変だった。

なんで?

ジョウ:完成しなかった。2年くらいかかったよ、完成に。

え?本当に?さっき2ヶ月くらいで大体できるみたいなこと言ってたじゃん?

ジョウ:まあ、ほとんどはそうなんだけど、これは時間かかった。もちろん2年間ずっとこの曲にかかりっきりだったわけはなくてね。あまりにできないから何ヶ月も寝かせたりして。

よくそのままボツにはならなかったね?

ジョウ:そう。普通はボツになってもおかしくないんだけどね。

なんでならなかった?

ジョウ:わからない。でも気に入ってはいたのかな。最初は全く違うサウンドの曲を目指してた。4人だけの音でちょっと静かめのR.E.M.みたいなのをね。でも全然上手くいかなくてね。俺が自分が作ったメロディも平メロで拍のアタマにアクセントがくるメロディをあえて作ったんだけど「それが良くないんじゃないか」とか色々考えちゃってね。

そうだね、これはもはやバンドサウンドって感じじゃなくてディスコソングだね。

ジョウ:うん。もう作ってる途中から楽器のこと考えないで、打ち込みのことばっかり考えてたよ。特にアウトロは素晴らしい。シンセもストリングスも最高。俺の歌が消えてからがメインと言ってもいい。

そこまで言っちゃう?

ジョウ:いいんだよ。振り切れててすごく気に入ってるよ!このアウトロはすごい。ずっと聴いていたい。だから、かなりアウトロを長くした。ライヴではもっと長いかな。

俺たちは次もアルバムかな

さて、これで全ての曲について聞き終わったけど、全12曲。今の時代にこんなに、しかもインディーズのバンドでこんなにいっぱい曲を入れるグループも少ないと思うけど、最初っから今回は12曲の予定だったの?

ジョウ:そうだね。最近は周りの仲間のバンドも6曲とか8曲収録でアルバムって銘打ってリリースしてるからね。その辺との違いは出したかったね。実際には13曲レコーディングしたんだけど、1曲外して12にしたんだよ。

なんで?

ジョウ:その曲を入れるとちょっと全体的に散漫になる印象だったし、トータルで60分超えちゃうからね。曲数は多いのはいいんだけど、時間が長いのは好きじゃないんだ。

「最近はアルバムの時代ではなくてシングルの時代」だって言われてるけど、それはどう思う?

ジョウ:俺は気に入らないね。でも聞き手がそれを求めてるんだったら仕方ないのかもね。

アルバムっていう概念がなくなるかもしれないとも言われてるよね?

ジョウ:うん、でも俺たちは次もアルバムかな。

まだ出来たばっかりなのに、もう次のこと考えてるの?

ジョウ:もちろんだよ。曲はまだだけどね。でもどういうサウンドにして、どれくらいのヴォリュームのアルバムになるかは決めてあるよ。

すごいね。わかりました。今日はありがとう。次回は6年も空けずに、せめて半分の3年で頼むわ。

ジョウ:そうだね。いっぱい売れたら早く作れるから、頑張ろうかね(笑)。